2010年10月26日
フランス南西部ルルドは、カトリックの聖地。1858年に聖母マリアが18回も出現して聖堂の建設を指示したと伝えられ、毎年600万人の信者が集まる。
土曜の深夜、車で道に迷って立ち往生していたら、缶ビールを片手に散歩中のおじさんが「わしが案内してやる」と助手席に乗り込んでくれた。
ところが、予約しておいた宿の周辺は、夜の礼拝を終えた歩行者で日曜の原宿の竹下通りみたいな混雑ぶり。私が車を完全に停止させるたび、おじさんは興奮気味に叫んだ。「少しずつでも前に進むんだ。アクセルを踏みなさい。2人までならちょっとぶつけても大丈夫。神さまも許してくれる」
そんな教義があったかなあ、と首をひねりながらも、10分後に宿に到着できた。
翌朝、病を癒やすという聖堂の泉に出掛けたら、おじさんがボランティアガイドの札を首にさげ行列整理をしていた。 (清水俊郎)