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上海 庶民は至って穏やか

2010年11月13日

 上海で11店舗ある日系カレー店。隣のテーブルで若い女性が「釣魚島って?」と友人に尋ねていた。日清戦争で日本に奪われた領土などと説明が始まったが女性はつまらなそうに「連休はどうするの」と話題を変えた。

 衝突事件の漁船船長はメディアに「英雄」扱いされたが、13億人のすべてが関心を示しているわけではないようだ。若者にとっては日中間の政治問題よりも日常生活の方が大切なのだろう。

 船長の地元、福建省では日本人と分かると、にらみ付けられるようなこともあったが、上海では日本人が中国人に絡まれた話は聞かない。反日デモも5年前のように、日本料理店を破壊するなどの暴力行為にエスカレートしなかった。

 タクシー運転手は「日本が悪いと言ってるけど共産党も悪い。旧日本軍人を悪者にしたドラマばかり放映して、国民をあおってさ。仲良くやろうよ」。(小坂井文彦)