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上海 人付き合いは別物で

2010年11月30日

 日本語がペラペラの上海の友人が「嫌中」という言葉を「上から目線のようだ。対等の立場なら反中を使うべきでは」。

 言い方はともかく、漁船衝突事件とフジタ社員拘束で、上海で暮らす日本人の多くが、中国嫌いの感情を高めた。「中国人との付き合いは控えたい」と言う駐在員の妻もいる。だが、政府と人は別物。できる限り、うまく付き合いたい。

 上海人男性と結婚した名古屋出身の女性の家庭では「尖閣や歴史の問題を口にしない」のが暗黙の了解だ。野菜を高値で売り付けられたりすると「嫁にふざけたマネをするな」と怒ってくれるしゅうとめも同居。

 自宅に来た小学生の息子の友達から「小日本」(日本の蔑称(べっしょう))と呼ばれたこともある。でも、そこは大人の対応で怒らなかった。目つき鋭く「おばちゃんのことかなあ」と笑みを浮かべて事なきを得たという。 (小坂井文彦)