2010年12月01日
10月にオープンした広東省広州市の「広州タワー」に上った。高さ600メートル。完成すれば高さ634メートルになる「東京スカイツリー」との高さ争いが一時話題になった、新しい街のシンボルだ。
エレベーターでぐんぐん上へ。430メートルの展望台までの1分半、ガラス越しに外を見ていて驚かされたのは、眺望の素晴らしさ、ではなく、施工のがさつさ。タワー外壁の内側は、コンクリートの塗りがでこぼこ。ペンキの垂れた跡もあちこちに。安全性は?と勘繰りたくもなった。
広州では今月、アジア大会が開かれる。目抜き通りのビルは新築や改修が進んだが、一歩裏通りに入れば庶民の街が手つかずのまま残っている。
タワーも見てくれさえよければいいらしい。「お客さまが目にするところがきれいなら十分」と政府関係者。メンツを保つことへの腐心は、同時に国内の経済発展を支えてきた庶民を見下しているようにも聞こえた。(朝田憲祐)