2010年12月10日
「Are You OK?」…法衣をまとった金髪女性の声でハッとわれに返った。欧州司法裁判所で審理を傍聴中、いつの間にか寝てしまったらしい。声は優しいが、表情には怒りの色が浮かぶ。
「日本との違いを勉強するぞ」と意気込んで傍聴に臨んだものの、難解な内容と言葉の壁に阻まれた。「下を向いていただけ…」という言い訳もむなしく、以降、女性職員はチラチラと視線を送ってくるようになった。
だが、睡魔は襲ってくる。困り果てて法廷の脇にある通訳ルームに目を向けると、個性豊かな通訳たちに気付いた。同裁判所の公用語は23言語に及び、複数言語で同時通訳が行われている。
難解な裁判用語に苦戦し、時折ため息を漏らす人もいれば、スポーツの実況中継さながらに身ぶり手ぶりを交える人も。審理の中身はさて置き、眠気はすっかり覚めていた。 (藤川大樹)