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パリ さすがは“離婚大国”

2010年12月21日

 年末が近づくと、妻との間にひんやりした空気が流れる。妻の滞在許可証の更新時期だからだ。フランスで暮らす私たち外国人の重要な身分証明書。

 妻は先日、パリ近郊の役所に5時間並んだ。更新手続きが始まる日付だけが決まった。大量の書類を提出して新しい許可証を手にするまで、あと何回窓口に通うのだろう。

 「あなたはいいわよね」。彼女が腹を立てるのは、私が仕事にかこつけて付き添わないからだけでも、役所の作業が遅いからだけでもない。専業主婦である彼女の許可証は毎年更新が必要だが、企業駐在員である私の許可証は3年間有効。夫婦でこの国に引っ越してきたのに。

 私が役所に抗議したら、女性職員に淡々と諭された。「1年後にあなたの奥さんがあなたと一緒にいてくれる保証はないでしょ」。さすがは夫婦2組に1組が離婚する国だ。
 引き下がったら、妻にしかられて、ひとまずほっとすることにした。(清水俊郎)