2010年12月27日
「信じられないわ」。中国人女性記者が切り出した。2012年ロンドン五輪の準備説明会の席だ。英国人担当者が「会場のどこでも高速インターネットが使えて皆さんの仕事もはかどる」と自慢した直後だった。
彼女は反論した。ネット接続も公共交通も乱れがちのロンドンで、北京のように五輪が無事に開けるのか-。少し上から目線の物言いだが、気持ちはよく分かった。
実際、最近1週間に職場のビルは5度停電し、電話やネット、水道、暖房が止まった。電力会社は「道路工事が地中の電線を間違って切断した」などと解説するだけで復旧を慌てない。テロ事件が起きても冷静な英国人気質だが、トラブルに対しても許容度が高い。
ビル管理会社の担当者がやって来た。「まさか毎日停電とは。保険会社に言いましょう」。いえいえ、補償や同情より当たり前に電気をつけてほしいのです。(松井学)