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テヘラン 体力あっての大統領

2010年12月24日

 イランのアハマディネジャド大統領の記者会見に出席した。が、2時間を過ぎても終わらない。五輪のマラソン選手ならゴールに戻ってくるころである。

 地元記者に聞けば、長いのはいつものことという。開始直前に質問のテーマを書いた「質問希望書」を出しておき事務方が「次は○○記者」と指名する仕組みだが、この日も質問が延々と続いた。

 修業が足りぬのか、1時間を超えると「少し腹減ったな」と集中力を欠き始めた。周囲の記者もヒソヒソ話をしたり、ノートをうちわにしてパタパタ仰いだり。一方の大統領は、壇上のいすに座って淡々と質問に答え続けている。

 質問者が約30人に達し、「そろそろ」という空気が漂い始めたころ、事務方の進行を無視してイラン人記者が立ち上がり「私は前回も質問できなかった」と訴えた。大統領は「じゃあ、どうぞ」。世界に敵の多いイランの大統領など、体力がないと務まらないということか。(内田康)