2011年01月03日
ぱっと見、女子高校生。でも、紺色の制服の肩には、確かに「警察」のマーク-。
彼女らは広州アジア大会の手荷物検査員。パソコンやカメラはまだしも、取材ノートや財布までのぞき込まれるのには、多くの記者が閉口していた。
ある日、西側の記者が「あなたは何がしたいんだ?」と不満をあらわにした。すると、上司とおぼしき女性が「中国に来たなら、中国の法律に従え!」。が、彼も負けじと「では聞くが、“この子”は本当に警官か? 証明できるものは?」。相手が口ごもるや「あなたがたは、権力をかさにわれわれをだましているに等しい」と畳み掛けた。結局、分の悪くなった上司が「もう、入ってよし」。
一方、当局の思惑で「警察官」にさせられ、もめ事に巻き込まれたボランティアの彼女たち。後日、通り掛かると、着衣が高校指定のジャージーに替わっていた。表情が晴れやかに見えたのは、こちらの思い込みか。(朝田憲祐)