2011年01月05日
「SUSHIやSASHIMIもあるわよ」と馴染(なじ)みの中華レストランの女将。中華料理を食べにやってきたので戸惑った。上海出身の彼女が目配せする方を見ると寿司(すし)コーナーが。そこでは、わが同胞と思われる調理人が立ち働きイタリア人たちが寿司や刺し身を箸で器用につまんでいる。
中華で腹を満たした帰りがけ、別の中華料理店の主人が手招きする。近づくと隣の店を指さしニヤニヤ。赤提灯(ちょうちん)になんと「寿司」「ニギリ」の文字が。同店が隣に日本料理屋を開店したというわけ。経営も調理も中国人。
健康志向の和食ブームに便乗する中国人の商魂には感心させられるが、偏見に満ちた「魚の生食は衛生上危険」とのテレビニュースのなかで、懸命に反論していたのも若い中国女性の日本料理店経営者だった。
もはや「和食の国際化」を素直に喜べない方が時代遅れなのかもしれない。(佐藤康夫)