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香港 永住権だけを望む訳

2011年01月12日

 北京留学中に知り合った友人の女性(27)は紹興酒の古里、浙江省紹興出身。香港で働き始めて5年目になるが、いまだに香港人の友人はいない。

 「香港人は中国人なのに、どこか感覚が違って息が詰まる。北京で働きたい」

 来年、結婚を予定している。お相手の男性は香港の隣、広東省深センで生まれ育ち勤務先も深センの会社だ。結局、新居も深センに構えることになる。

 1国2制度のため毎日、入国管理所を越えねばならず通勤時間は約1時間半。本音では転職して深センに移り住みたい。

 「でも、あと2年半は頑張る。香港で7年間、働くと永住権を取得できるから」。なぜ香港の永住権を欲するのか。

 「日本人には分からないのね。香港パスポートは日本入国にビザが不要で、入国できる国の数は中国の倍以上。1人っ子政策がないから出産は自由だし、教育水準だって違う」(小坂井文彦)