2011年02月04日
パリのシャンゼリゼ通りにある小さな郵便局が今月、閉鎖された。高級婦人服店や携帯電話店があるビルの1階。契約更新時に家主から賃料の5倍の値上げを求められたとか。もっと良い借り手が見つかったから出て行け、ということだ。
徒歩圏内に郵便局はほかにも3つある。でも、フランスを象徴するこの通りに面した唯一の郵便局だったから、街の好ましくない変化として仏メディアに一斉に報じられた。
「無くなったのは郵便局だけじゃない」と嘆くのは、地元区長。薬局、映画館、値打ちなレストラン。「小さな店舗が減り続け、増えるのは高級ブランドの大型店ばかり」。街の魅力が損なわれると顔をしかめる。
この地区のビルの片隅に入居している本紙の支局も近々、契約更新の時期を迎える。今のところ追い出される心配はないが、家主との交渉の席には「街の多様性の保持」を呼び掛ける仏紙の記事の切り抜きを持って行くつもりだ。(清水俊郎)