2011年04月11日
「あなたがなんと言おうとも規則。ダメなものはダメです」。鉄仮面の税関職員は冷たく言い放った。
中国東部にある無錫空港。家族4人で北京に戻るため安全検査を受けたが、子供のリュックの中にあったテレビの戦隊シリーズのおもちゃがエックス線検査で引っ掛かった。
おもちゃは「ガチャ、ガチャ」と銃にも剣にも変化するタイプ。税関職員の前で、引き金を引いて実演。「ビビビビ、ピローン」という音しか出てこない。
日本の規則では「材質の強度、形状を考慮した上で明らかに危険性がないと判断されるもの」は持ち込み可能だ。係官に「本物の銃に見えて機内でほかの乗客を威嚇できるなら別だが、これはどうみてもおもちゃだよ」と主張しても、聞く耳を持たなかった。
息子の前で10分近く交渉しても、らちが明かない。仕方なく、搭乗手続きのカウンターに急いで戻り、おもちゃの銃だけを預けた。あとで中国の規則を調べると、銃や刀の模造品の記述はあるが、「おもちゃの銃」の記述はない。
昔の中国はいいかげんな部分と人情味があって、もう少し融通が利いた。中国も厳格な管理社会になったなあ、とため息をついた途端、思い出した。北京の空港では何も言われず通過したんだ-。
(安藤淳)