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北京 通じないのはどっち

2011年04月21日

 「私には、あなたの中国語がまったく分からない。もう少し勉強した方がいい」

 中国外務省の定例会見で、質問した外国人記者を、報道官がいきなり切り捨てた。

 この発言、中国の政治改革を求める「中国ジャスミン革命」に関連し、「中国のインターネットは開かれているというが、『ジャスミン』などが検索できないのはどうしてか」との質問に対して。

 実際は記者の中国語はかなり流ちょう。中国側が神経をとがらせていることを露呈した。別の記者が「集会の呼び掛けをどう分析するか」と問うと、今度は「いつも会見に来ていればそんな質問はしないはず。外交問題ではないからね」。

 中国共産党の「のどと舌」と呼ばれる国内メディアからはこんな質問は出ない。というより「させてもらえない」(政府系メディア記者)が正しいか。

 かつて中国政府高官が日本側に「日本もわが国のようにメディアをコントロールせよ」と注文したことがあるという。「メディアは宣伝機関でしかない」という当局の本質をさらけだした格好だ。

 そういえば、くだんの報道官は、質問者の中国語能力不足を指摘した後「そちら(語学)の方面で手伝いしますよ」とも言った。質問者に代わり、切り返そうかと思った。「週に1時間、個人レッスンしてください」と。 (朝田憲祐)