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ロサンゼルス 小東京愛した写真家

2011年05月12日

 トレードマークのベレー帽にカメラバッグ。ロサンゼルスの日系社会で有名な写真家トーヨー・ミヤタケ氏だ。

 太平洋戦争開始とともに家族と一緒に日系人強制収容所に送られた。忌まわしい人種差別を記録しようという気持ちからレンズだけを密(ひそ)かに持ち込み、木箱でカメラを作って写真を撮り続けた。

 日系人というだけの理由で、着の身着のままで連行され自由を奪われた人々の収容所生活の様子は、現在博物館で見ることができる。彼はポートレートが得意でチャプリンやトーマス・マン、日本関係は皇太子時代の天皇陛下、三船敏郎、美空ひばり、高峰秀子さんらの写真を残した。

 奉仕活動にも積極的で日系社会の一大イベント、二世週祭の支援活動も有名だ。同氏の功績をたたえてリトル東京の小道に彼の名前を付けることが決まり、記念式典が行われた。今まで道路に名前が付けられた人々は2人。宇宙飛行士で殉職したオニヅカ氏、コミュニティー指導者のアイソ判事。ミヤタケ氏は3人目となる。

 後継者で息子のアーチー・ミヤタケ氏を知ったのは二十数年前。いつも無理を聞いてくれて的確な写真を撮ってくれた。式典で彼は「父は小東京をこよなく愛した。名前が残されて非常に喜んでいるだろう」と語った。 (野口修司)