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バンコク 総選挙対策も万全?

2011年05月18日

 東日本大震災に伴う福島第一原発の事故が起こった東北地方へ向かうタイ人旅行者を対象に、タイ保健省はバンコクやプーケットの国際空港で放射性ヨウ素による健康被害を防ぐ内服薬「安定ヨウ素剤」の無償配布を実施している。

 大地震発生後の十七日から配布を開始。同日は渋滞も考慮して少し早めにバンコク国際空港へ取材に向かったのだが、既に多くのタイメディアが集まっており、チュリン保健相の到着を待ち構えていた。

 保健相は空港到着後、まず出発ロビーのヨウ素剤配布窓口を視察。次に日本からの到着客に対応する窓口へ。さらに、日本からの輸入食品に対する放射線検査の視察のため、旅客ターミナルから数キロ離れた貨物ターミナルも訪れた。ターミナル間の移動には報道陣も乗れるよう大型バス二台が用意されていた。

 保健相の視察パフォーマンスからは“対策は万全”という国民向けアピールがひしひしと感じられた。タイでは五月初旬までに下院が解散され、七月末までに総選挙が実施される予定だ。

 タイの知人や取材先からは日本の家族の安否を気遣う言葉をずいぶん掛けられた。市民の率直ないたわりの気持ちに触れ、政治家のパフォーマンスの違和感は薄らいでいった。 (古田秀陽)