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ソウル 友好育むきっかけに

2011年05月17日

 16年前、阪神大震災が起きた翌日、韓国紙一面には、ねじ曲がった阪神高速道路の写真と合わせ「日本の自尊心が崩れた」という大見出しが躍っていた。韓国人記者と会った際、「多数の人命が失われているというのに、無神経ではないか」と抗議したことがあった。

 東日本大震災が起きてまもなく、韓国で著名な牧師がキリスト教系インターネット媒体に対し「日本国民は神様を遠ざけ、偶像崇拝や無神論、物質主義が突出しているので、神様が警告したのではないか」と発言。インターネット上で瞬く間に広がった。

 発言に対する当地の反応に驚くと同時に、新鮮味を感じた。人気評論家は「このような頭のおかしい人物が牧師をしているとは」と、激しく非難。ネット上には「日本の大地震を偶像崇拝と結び付けるなんて宗教家として軽率だ」「宗教指導者の水準が、この程度であることが情けない」など、牧師批判の声があふれ返った。

 「歴史を反省しないことは許せないが、今回だけは声援を送りたい」。歴史問題や竹島の領有権をめぐり、いつもならサイバー空間で嫌韓派の日本人を相手に火花を散らす人々の激励も相次ぐ。

 未曽有の惨事が、日韓関係を新たな段階へと進ませる契機になることを期待したい。 (城内康伸)