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モスクワ 宇宙好きの子星の数

2011年06月14日

 「宇宙は好き?」

 「もちろん」

 10歳ぐらいの女の子に即答され、愚問だったと苦笑いした。

 宇宙関係の研究、訓練施設が集まるモスクワ郊外の「星の街」。先日、日本人宇宙飛行士古川聡さんの公開訓練があり、初めて足を踏み入れた。

 旧ソ連時代は閉鎖都市で、現在も一般人の立ち入りは制限されている。住民はほとんどが宇宙関連事業の関係者やその家族だ。

 とはいえ、中に入れば一見、どこにでもある普通の街。商店や喫茶店があり、広場では子どもたちがボール遊びをしていた。女の子もその一人。たぶん、だれに尋ねても答えは同じだったろう。

 旧ソ連の宇宙飛行士ガガーリンが人類初の宇宙飛行を実現してから今年4月で50年。米国に負けじと最先端を走ってきた宇宙開発は多くのロシア人にとって今も誇りだ。

 50年に合わせ、プーチン首相は開発の予算増を宣言。日本では「事業仕分け」のやり玉にも挙がる宇宙開発だが、今のところロシア国内から「無駄遣い」との批判は聞こえてこない。

 個人的には「宇宙」という言葉に未来や、希望を感じる。

 宇宙好きの大勢の子どもたちがいて、「星の街」なんてロマンチックな響きの都市があるロシアがちょっとだけ、うらやましい。(酒井和人)