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ロンドン 暑さ寒さも個人主義

2011年06月24日

 「その格好で寒くないんですか」。5月とはいえ、風が吹けばかなり寒いロンドン。こちらがまだコートを着ているのに、Tシャツにサンダルを履いている人も多く、思わず問い掛けたくなってしまう。

 日本人の友人に、この疑問を話すと「英国人は日本人と違って、周りを気にしないから」との答えが返ってきた。要するに彼の説は「寒かろうが、自分の気に入ったファッションをする」だった。

 だが、Tシャツの男性を観察するに、特別その格好にこだわりがあるようでもない。思い切って、その中の一人に聞いてみると「暑いんだよ」とひと言。

 「そうなのか」と感心しながら周りを見ると、セーターを着て、コートをはおった人もいれば、背広姿の人もいる。つまり、同じ英国人といっても、暑い人もいれば、それほどでもない人、寒く感じる人が同じ場所にいるということになる。

 ちょっと話が飛ぶが、地下鉄の中で身長を見ても、小柄な人も多いし、2メートル近い人もけっこういる。日本と比べ実に幅が広い。

 欧米人は個性を尊重するといわれる。本当に尊重しているかどうかは分からないが、少なくとも英国人にとって、それぞれが違うということは理屈ではなく、皮膚感覚で当たり前のことなのだ。それに今更ながら気付かされた。 (有賀信彦)