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丹陽 スイカ写真種明かし

2011年07月24日

 「地雷が次々爆発」-。中国紙にショッキングな文言が躍ったのは約1カ月半前。先日当欄でも写真を取り上げた中国江蘇省丹陽市の破裂スイカを報じる記事の見出しだ。

 掲載された写真には、確かに破裂して赤い果肉がむき出しになったスイカがずらり。「全滅して、収穫もままならないのか?」と思い、現地に向かった。スイカのビニールハウスがずらりと並ぶ一角には、破裂したスイカがちらほら。しかし思い描いていた風景とは、ちょっと違った。

 通り掛かった農家は「おまえも破裂スイカを撮影したいのか」。聞けば、最初に地元紙が来て破裂スイカを20個ほどかき集めて撮影したのだとか。実際は、破裂したのは全体の数%だったが、一瞬にして風評被害を受けた。

 成長促進剤が原因との指摘があるが、それも海外で広く使われている栄養剤。だが、破裂スイカはその後、内外のメディアに「また中国で食の問題」と大きく報じられた。中国東部で収穫されるスイカは、一気に値崩れした。

 農家は「割れたスイカをかき集めるか?」と自嘲(じちょう)気味に言った。スイカはいまでも例年の3割ほど値が低く、出荷すればするほど赤字になる状況が続いているという。 (今村太郎)