2011年07月25日
1996年12月のペルー日本大使公邸人質事件から今年で15年を迎える。軍の特殊部隊が突入訓練を繰り返した“模擬公邸”が、首都リマに博物館として残っている。
公邸と同じ間取りで建てられ、地下に掘ったトンネルも当時のまま。貴賓室の床には爆薬で吹き飛んだ突入用の穴が開き、左翼ゲリラのトゥパク・アマル革命運動(MRTA)が犯行に使った銃やガスマスクが生々しい。
館長のウイリアム・メイワイさん(43)は突入部隊の一員。銃撃戦で動けなくなった日本人の人質を抱きかかえて救出した。「軍にとって最も誇りある作戦だった」と振り返る。
作戦を指揮したフジモリ元大統領(72)は在任中の人権侵害などで有罪になり、警察施設に収監されている。政治理念を受け継ぐ長女のケイコ氏(36)がフジモリ派を束ねるが、5日の大統領選決選投票では惜しくも敗れた。
メイワイさんは今も元大統領を尊敬し、ケイコ氏の善戦を「フジモリ氏の功績を多くの国民が認めている証拠だ」と話した。一方、当選したオジャンタ・ウマラ氏(48)は元陸軍中佐で、メイワイさんにとっては組織上の元上官に当たる。
国を二分した今回の選挙。新しく国を率いるウマラ氏への忠誠を聞くと、軍人らしく「評価はまだ早い。作戦(政策)次第だ」と答えた。 (青柳知敏)