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平昌 山村の縁つゆ知らず

2011年08月17日

 つゆは甘くてシナモン入り。めんはつなぎが多いのかコシがなく水っぽい。韓国の盛りそばには、やはり慣れない。暑くなり、日本のそばが恋しい。

 そんな折、思わぬ情報を得た。2018年冬季五輪の開催地になった韓国北東部の平昌(ピョンチャン)が、そばを縁に富山県南砺市利賀(とが)地域(旧利賀村)と交流している、と。早速訪ねた。

 山あいにある平昌の蓬坪(ポンピョン)地区はそばの産地で、1990年代後半に村おこしを発起した。そばで地域活性に取り組む利賀村に学ぼうと海外視察し交流がスタートした。習って始めたそばまつりは人気で今や来場客は毎年数10万人という。

 今年2月にも利賀を訪ねた平昌の男性は、利賀の教えは「村おこしは国がやるものではなく、住民がやるという精神だ」と話した。3度目の五輪招致挑戦に成功し“世界の平昌”となる山村の先生は日本の山村だった。

 現地は数10年前まで貧しく、主食はジャガイモ。そばは正月と誕生日だけ食べるごちそうだったと聞いた。

 口に合わないそばも残せなくなるなと思ったが、平昌で食べたそばはコシがあり結構いけた。外は梅雨空の下、白い花咲くジャガイモ畑が広がっていた。建設中の競技会場の多くも元はイモ畑だったという。自分の中で、平昌五輪をソバ五輪、イモ五輪と名づけた。 (辻渕智之)