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ニューヨーク 同性婚願い実った日

2011年08月24日

 「結婚するの?」

 日曜日の早朝、ニューヨーク市内で取材に向かう車中、運転手からこう聞かれた。連れは同性の助手。この日は、米ニューヨーク州で同性婚が認められる初日だった。

 婚姻証明書を発行する市庁舎に着くと黒山の人だかり。結婚する同性カップルに加え、同性婚賛成派と反対派が、それぞれの主張を叫びあって、普段なら静かな日曜日の金融街が騒然としていた。

 手続きを終え、出口に出てくる同性カップルに、賛成派が「おめでとう!」と祝福のエールを送ると、反対派がそれをかき消すように「同性婚は神様が許さない」と叫ぶ。

 一触即発か?と心配したが、一通り叫んだ後、反対派はあっさり去って行った。

 ニューヨーク州では約6割の住民が同性婚に賛成する。街行く人の視線も好意的だ。

 男性同士のカップルがキスを交わして結婚を祝っている横を歩いていたある父親は「今日は、みんなが幸せになる日だよ」と小さな娘に説明していた。

 肩を抱き合い、結婚の喜びをかみしめて、街中へ次々と消えていく、年齢も人種もさまざまな同性カップルたち。

 共通するのは、みなこの日を待ち望んでいたということ。長年育んできた愛情のせいだろうか、少しも違和感はなかった。(長田弘己)