2011年09月10日
取材で米国各州を訪れるうちに、州都、特に州議事堂に魅せられるようになった。連邦制を敷く中、州議事堂は州の顔であり、その誇りを感じるからだ。
特に州都は州内の他の都市に比べて地味な街が多く、そのギャップがまた興味深い。例えばニューヨーク州の州都はニューヨーク市から北に200キロ以上離れた人口10万人にも満たないオールバニ。だが19世紀後半に30年以上の歳月をかけて建設された議事堂は、今なら5億ドル(約385億円)はかかる豪華な造り。ある男性職員は「南北戦争で勝った北部の資金力を見せつけるため、ぜいたくの限りを尽くした」と話してくれた。
大統領選で最初に党予備選が行われるニューハンプシャー州。州都コンコードの議事堂は各州で使われている中で最も古い。人口130万人の小州の下院議員数は400人と全米1位。「でも議員の報酬は年100ドル。悪くないわ」と女性職員。政治意識の高さを感じた。
州が抱える悩みも垣間見た。ジョージア州アトランタの議事堂を訪れると知事が渋い表情で記者会見していた。州内の8割近くの公立学校で、学力向上を装うために学校ぐるみでカンニングを実施していたことが判明したのだ。3年間の特派員生活で訪れた州都は50州のうち27。アメリカは広かった。(岩田仲弘)