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ワシントン 思いの外ワンダフル

2011年09月29日

 ボクは犬です。名前は「ソラ」。小さな雑種です。今度、ご主人さまの転勤で米国に住むことになりました。日本をたつ前は、米国に行くのに必要な準備だと方々を連れ回され、いい迷惑でした。

 例えば、狂犬病ワクチン。1カ月余で2回も同じ注射を打たれました。出発間際まで、やれ「ペットホテルに泊まれ」「成田空港で検疫だ」。その上、機内では12時間も独り狭いカゴに閉じ込められ、ご飯も出ません。うんざりしました。

 ところが、米国に着いたら意外に居心地がいいんです。ワシントン郊外にあるダレス国際空港の入国審査はすんなり。日本で痛い思いをして背中に入れた個体識別用のマイクロチップ、英文の検疫証明書は、誰もチェックしませんでした。用意万端だったご主人さまは、拍子抜け。

 到着してから10日間は、ご主人さま一家と一緒にホテルの部屋に泊まれました。最近、住み着いたワシントン近郊の家には、ボク専用の「ドッグラン」があります。たまにリスやウサギが現れるので、「キャン、キャン」と追い払ってやります。

 こんなボクにも悩みはあります。住み慣れた横浜の家から離れたせいで、どこでオシッコしたらいいのか、分からなくなっちゃったんです。新居でも、あちこちで粗相して、ご主人さまに叱られています。(竹内洋一)