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バイカル湖 行程450キロ疾走の友

2011年09月30日

 ロシア東シベリアのバイカル湖南西にあるイルクーツク空港に着いたのは午前0時近くだった。極東ハバロフスクから3時間半の空の旅。2日前には極東ウラジオストクからハバロフスクまで約800キロを車で走ったばかりだった。空港の外には事前に手配しておいた白タクがすでに待機していた。

 行き先はバイカル湖東側に位置するブリャート共和国の首都ウランウデ。北朝鮮の金正日総書記とメドベージェフ大統領との会談場所だ。「午前7時までに到着を」とお願いすると、白タクを運転するセルゲイさんはこっくりとうなずいた。

 バイカル湖に沿って南下し、湖の南端で再び北上する行程は約450キロ。漆黒の闇に包まれた森の中を走る道路は急カーブの連続でデコボコ。そのルートを平均70キロ、時には120キロ近い速度で疾走した。舗装されていない日光山中を猛スピードで走る感じだ。

 車内にはディスコ音楽が響きっぱなし。セルゲイさんが睡魔を払うためのようだが、こちらも眠れない。

 ウランウデ到着は午前6時半。車を降りて背伸びすると、セルゲイさんが「お疲れ」と言うように、背中をトントンとたたいて、ほほ笑んだ。湖畔にたたずむ暇もなく、不眠不休でジェットコースターに乗ったようなドライブが終わった。(城内康伸)