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北京 抜け出せない攻防戦

2011年10月06日

 職場の近くに「けもの道」がある。高級ホテル駐車場周辺の植え込みが踏み荒らされて出現したものだ。ホテル側と昼休みの通行人との攻防が繰り広げられている。

 食堂街への近道としてのけもの道。誰が置いたのか歩道と植え込みの約50センチの段差にコンクリート製「補助台」も設置された。

 しかし、ある夏の日。植え込みの改修工事が始まり通行止めに。数週間後、工事は完了し、高さ約50センチの立派な植え込みが出現した。「仕方ない」と、約100メートルの迂回(うかい)にも渋々従った。

 すると数日後、植え込みの枝の根が踏まれて倒され、約10センチの切れ目が出現。記者も「しめた」と通行を再開した。だが、敵もさる者。今度はけもの道にホースで常時、水をまき始め、ぬかるんで通行困難になった。

 しかし、中国人はネバーギブアップ。それでも通行、切れ目を徐々に広げた。ついにホテル側も水まきを中止したが、今度は通行ではげていた芝生を張り直し「補助台」も撤去、抵抗の意を示した。

 北京では「通り抜け可」と思える場所が、進んでみると「行き止まり」の場所が多く、迂回を余儀なくされたり「けもの道」を無理やり通ることが多い。入り口に「行き止まり」とか「通行禁止」との看板を立てれば済むとは思うのだが…。 (安藤淳)