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ウランウデ 富裕層は頭をひねる

2011年10月11日

 ロシア東シベリアのブリヤート共和国の首都ウランウデはバイカル湖南東約100キロに位置し、人口約38万人の静かな街。モンゴルの首都ウランバートルとはバスで約12時間と近く、住民の中にはモンゴル系の人々が目立つ。街並みはロシアというより、4年前に訪れたウランバートルに似た印象だった。

 街の中心部で官公庁の建物が周囲に集まるソビエト広場には、巨大なレーニンの頭部の像が立つ。胸像でもなく、本当に頭だけがそびえている。高さ約8メートル、重量は42トンで1971年に完成。8月下旬には、北朝鮮の金正日総書記も見学し敬意を表して、お辞儀をしたという。

 その像の前で、10人ほどの中国人観光客が記念撮影していた。当地は中国の北京からウランバートルを経てモスクワに至るシベリア鉄道支線の分岐点でもある。

 中国人の話に耳を傾けていると、「なぜ頭部だけなのか」に話題が集中していた。奇想天外な像には諸説あるらしいが、「あまりに大きくて、造るのを途中であきらめたんだろう」と男性の一人が切り出すと、周りの人は爆笑した。

 また別の一人が「全体像を造るカネが足らなくなったんじゃないか」と言うと、数人がうなずいていた。いかにも急増する中国の富裕層らしい発想、と思った。 (城内康伸)