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チチハル 鯨飲自慢話も大きく

2011年10月28日

 中国東北部、黒竜江省チチハル郊外での取材先らとの昼食。中国焼酎の白酒(バイジュウ)を勧められたが、丁重に断った。何しろアルコール度数が最低でも30度後半。午後から仕事にならないと思ったからだ。

 アルコールなしのその場は上品な感じで進んだ。が、ある参加者の一言で一変した。「さっき取材された村長は、白酒を3本飲んでも平気なんですよ」

 まず反応したのは、30代の若者。「ぼくは先日、友人3人と赤ワイン15本と白酒3本を飲みました」。酒代はしめて5000元(約6万円)とか。当地の住民の平均月収の2倍近くに当たる額だ。

 「白酒は小さなグラスにせいぜい2杯しか飲めない」と話していたはずの男性は、これに負けじと、つばを飛ばしてまくしたてた。

 「ある外国映画を見たら、でっかいワイングラスに、赤ワインをちょっとだけ。それをグルグル回して、匂いをかいで…。そんなちまちました飲み方、できるかよ。おれたちは、でかいグラスにフランスワインをなみなみ注いで、5回連続で一気飲みしたよ」

 東北部は冬が寒いこともあり、酒が強い人は多いらしい。とはいえ、そこまで熱く自慢しなくても…。地元出身の女性に聞くと、恥ずかしそうに一言。「故郷の男たち、ほら吹きの気(け)があって…」 (朝田憲祐)