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ニューヨーク ハロウィーンに思う

2011年11月28日

 仮装した子どもらが近所の家を訪ね、「お菓子をくれないと、いたずらするよ」とお菓子をねだるハロウィーン(10月31日)。ニューヨークの自宅アパートにも怪獣や魔女が出現し、コンコンとドアをたたいてキャンディーをせびられた。

 ふと思い出したのが、故郷の長野県松本市の8月上旬の伝統行事「青山様」だ。町内の男子児童が「あおやまさまだい、わっしょいこらしょ」とみこしを担ぎ、各家の玄関先で「わーっ」。家の人が出てくるまで大声で繰り返し、お布施をもらって頭を下げて、次の家に向かうのだ。

 松本市によると、20年前に市の重要無形民俗文化財に指定され、少子化の今も昔通りに続いている。なぜ「青山様」なのかは諸説あるが、青々とした山で五穀豊穣(ほうじょう)を願ったとの説が有力。仮装した子どもらに法被姿の少年時代を重ね、キャンディーを奮発したのは言うまでもない。

 もう1つ、ハロウィーンで思い出すことがある。1992年10月、米ルイジアナ州に留学していた愛知県の高校生がパーティー会場を間違え、訪問先の家主に射殺された。銃規制の署名運動が広がったが、米国の銃犯罪は19年後の今も年間1万件近くに上る。

 ハロウィーン、青山様と違って、銃社会という変わってほしい“伝統”も米国には残っている。 (青柳知敏)