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デンパサール 両替商が“チェンジ”

2011年12月14日

 インドネシアの現地通貨、ルピアは厄介だ。何しろゼロが多い。レートは1円=約117ルピア。コンビニでビールを1本買うと、3万5000ルピア(約300円)といった具合になる。値段を示されたら、便宜的に頭の中で下二けたのゼロを取るという“デノミ”をして支払っていた。

 両替もまた、厄介だ。1万円が約117万ルピア。数えるのが大変なのだ。

 手持ちのルピアがなくなったので、バリ島デンパサールの両替所へ行った。聞けば、実際よりも少なく渡す悪質業者が多いとか。かつてバリ旅行をした知人も「ちゃんと数えたはずなのに、やられた」と悔しがっていた。

 事情は知った上で、あえて挑戦してみることにした。差し出したのは1万円。10万ルピア札も流通しているのに、先方はいやらしい。117万ルピア分を2万ルピア札ばかりで渡してきたのだ。

 2万ルピア札58枚と、残り端数があるはず。10枚ずつの束をつくり、目の前に置いていく。数えること3回。間違いないのを確認し、「OK」と言うと、先方はひと束にまとめて手渡してきた。

 が、ホテルに戻って数え直すと-。ウン? 日本円で1000円ほど足らない。いつ? どうやって? 仕方ない。1000円で、目の前で「手品」を楽しませてもらったことにするか…。(朝田憲祐)