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ロンドン 煙たくない自由価格

2011年12月19日

 ロンドン市郊外の自宅にほど近い駅前の雑貨店。ほぼ毎日、そこで同じ銘柄のたばこを買っている。「おはよう」の言葉とともに入店すると、愛想のいいインド人店主が「テン(10)?」と返す。1箱10本入りの意味だ。こちらの同意を得るまでもなく、店主は陳列棚からお目当ての商品を取り出してくれる。

 1箱20本入りのたばこもあるが、どの銘柄も平均して値段は8ポンド(約960円)と高い。倹約と吸いすぎ防止の意味もあって、いつも3.8ポンド(約450円)の10本入りを購入している。

 しかし先日、たばこを切らしてロンドンの繁華街、オックスフォード・サーカスの店へ。同じ品を注文してお金を出すと、店員が冷たく「4.4ポンドです」。釈然としないまま小銭を追加した。

 その場にいた店の出入り業者によると、英国では、たばこの小売価格は店側が決められるという。メーカー側が希望する価格はあるが、「都市部は店の家賃が高いため、その分を料金に上乗せしている」。試しに約50メートル離れた裏通りの店を調べると、4.35ポンドで売られていた。

 日本と同様、どこで買っても同じ値段だと思っていたが、この環境はうれしい。やはり安さが一番。連日、合言葉のような「テン?」の声を聞きながら、常連気分にも浸っている。(小杉敏之)