2011年12月20日
「オバマはいつ来るの?」「どこに泊まるの?」。東アジアサミット開幕数日前、インドネシア・バリ島ヌサドゥアの宿泊先近くのレストランで、記者だと名乗ると店員らから質問攻めに遭った。米国のオバマ大統領は少年時代4年間をインドネシアで過ごした。オバマ人気はすごい。
サミット閉幕日の夜、再びレストランへ。瞳を輝かせ「オバマは誇りだ」と言っていたプトゥ君(19)の表情がさえない。
「オバマは、インドネシアの料理を口にしなかったんだ」。彼の説明によると、滞在先のホテルでは、すべて米国から持ってきた食材を使ったという。さらに、「オバマの車列が通るたび、地元の人たちは何分間も待たされた。せめて窓から顔を出してくれてもよかったのに」と続けた。
食材のことは本当だとしても、警備上致し方ない面があるし、車列も同様だろう。そう伝えると、プトゥ君は「この国のことを忘れてもらいたくないんだ」と言った。
彼は将来、客船の船員になって世界中を巡ることを目標に、大学で観光を学んでいる。オバマ大統領に刺激され世界に目を向けるようになったという。
サミットで、中国の温家宝首相と激しいやりとりを繰り広げたぐらいでオバマ大統領は古里を忘れたりしないだろう。そう思った。(寺岡秀樹)