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北京 官製選挙茶番だらけ

2012年01月06日

 中国各地で5年に一度の地方の人民代表大会(議会)選挙が行われた。共産党などから推薦を受けず立候補する独立候補は、当局から厳しい嫌がらせを受け当選者はごく少数。しかし、北京南部の村で行われた外国人記者向けの立会演説会はフルオープンだった。

 村に入ると、道にごみ一つ落ちていない。会場はすでに候補者と聴衆がスタンバイ。官製選挙なのは見学者も参加者も暗黙の了解の上だ。演説会が始まると、30代の女性候補は用意した決意表明を棒読みし続けた。

 候補者の後ろに回ると用意したノートには、びっしりと想定問答集が書かれていた。しかし、こちらが写真を撮り続けていると、問答集で答えているのがバレると思ったのか、別の紙で隠していたため、何を質問されてもしどろもどろ。うろ覚えの同じ回答を繰り返していた。

 茶番劇は至る所で行われた。投票所でも「この人を書くんだよ」と指導する人や代筆までする始末。別の男性は投票日までに通知が来ず投票できなかった。日本でのやらせメールや組織投票も問題だが、やはりスケールが大きい。

 後日談もある。投票用紙には意中の人を記入する欄があり、上海の名門大学の投票所では中国で人気がある日本人のセクシータレントの名前もあったという。(安藤淳)