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カイロ 当たるも当たらぬも

2012年01月16日

 「イランとイスラエルの戦争が始まる」「リビアが再び内戦に陥る」-。年末になると、カイロは新年を予想する占星術などがメディアをにぎわす。昨年末は物騒な見通しのオンパレードだった。

 「アラブの春」が吹き荒れた昨年、中東はチュニジアやエジプトなどで政権が次々と崩壊。各国の政情はいまだ安定せず、シリアは反体制デモが続く。占いの結果は、新年を迎える人々の不安の裏返しのように見える。

 注目されるシリア情勢の見立てには、どれも力を入れ「国際社会の軍事介入があるだろう」と予測した占星術家も。混乱が続くエジプトは「強く賢明な新大統領が彗星(すいせい)のごとく現れ、国を統一に導く」と国民が胸をなで下ろす内容もある。

 何人か占い師に取材を申し込んだが「1時間で1000ドル(約7万7000円)頂きますがね…」などと露骨に要求された。こちらが料金を払うつもりがないと分かると「急に別の仕事が入ったんで」と体よく断られた例も。

 ある占星術家は「私はエジプトの民衆革命も、リビアのカダフィ大佐死亡も、もちろん予想してましたよ」と自信満々。今シーズンは例年以上の繁盛で政治家まで来たという。

 カイロ支局は、中東全域が取材の範囲だ。これらの占いが、ズバリ当たってしまうと…。想像するだけでも恐ろしい。 (今村実)