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ロンドン 言葉通じず苦い一杯

2012年02月27日

 ロンドンに赴任して5カ月。つたない英語は自覚していたが、つくづく自分の発音が嫌になる。レストランで先日、友人と胃袋に大量のビールを流し込んだ後、上機嫌で店員を呼び止めた。「ビル(勘定書)をお願い」。すると、もう1杯「ビール」がやってきた。

 別の日のイタリア料理店で。食後に「カプチーノ」と注文した。程なくしてテーブルに運ばれてきたのは、何と「紅茶」だった。どうやら、ウエーターには「カップティー」と聞こえたらしい。

 まだある。カフェで「コーヒー」を頼むと、目の前に置かれたのは「コーラ」。相手の耳を疑いたくなるが、これほど続くと、やはり自分の発音に問題があるに違いない。

 パブで知り合った語学留学中の日本人学生によると、同じ体験があるという。聞けば、同様の失敗談を持つ在英邦人は多いらしい。

 移民が多く、世界から観光客が集まるロンドンは、コスモポリタンな街だ。しばしば、英語を母国語としない人の英会話を耳にする。地元の人が話す“本家”の英語より、むしろ聞き取りやすい時がある。

 これも未熟さの証しだろうが、発音に悩む記者に向かって別の日本人留学生が笑って一言。「誰もが通る道ですよ」。励ましと受け止め、またパブにでも繰り出すか-。(小杉敏之)