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サンフランシスコ 謝罪はランチ「予約」

2012年03月14日

 米国のホテル代は、日によって大きく変わる。宿泊客が少ないと安いが、多ければ一気に3倍に高騰したりする。サンフランシスコに出張した際は後者だった。市内で大規模な会議が予定され、目当ての日本人街のホテルは1泊400ドル(約3万1000円)近かった。

 予約サイトでようやく手ごろな宿を探し当て、自分と支局の女性助手分の2部屋を押さえた。確実に予約したはずなのに、これが面倒を招いた。ホテルに着くと、フロントの男性は「1部屋しか予約されていない。今日は満室だ。文句はサイトに言ってくれ」。他にホテルがないことは分かっている。引き下がるわけにはいかない。

 予約の記録を調べるよう丁重に頼む。男性はしぶしぶ紙の束をめくると、一瞬しまったという表情を見せた。ここぞとばかり「こっちは2部屋予約したんだ。もう1部屋見つけてくれっ」と声を荒らげた。別室で支配人と相談してきた男性は、なぜか「もう1部屋ありました」。一件落着に胸をなで下ろした。

 「トラブルは旅の醍醐味(だいごみ)だね。楽しかったよ」と助手にうそぶいた。「楽しくない。彼は『明日の昼食をごちそうする』と誘ってきたのよ。殴ってやろうかと思った」とすごいけんまく。米国人は謝らないというが、それどころかナンパか-。つい尊敬しそうになった。 (竹内洋一)