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モスクワ 期待加速落胆は2倍

2012年04月06日

 作曲家チャイコフスキーの博物館があるモスクワ近郊の街を車で訪れた。運転していた友人がロシアで最近、相次いで設置されている速度違反取り締まり装置に捕まった。

 後日届いた違反切符には、時速60キロの法定速度をオーバーし、罰金は日本円で750円。国民の平均給与が9万円のこの国で、高いか安いかは別にして、友人も筆者も「へこんだ」。

 ところで、モスクワのボルゴグラード大通りでは、その装置をめぐって“事件”が起きた。「違反者」がここだけ突出したのだ。理由を調べた交通警察は青ざめた。この大通り、数年前から制限速度は80キロになっているのに、装置は60キロで反応するままになっていた。60~80キロで走行した無違反の数百人が罰金を払っていたことが判明した。

 罰金は既に検事局を通じて国庫に。交通警察の担当官は、関連当局への返金手続きのための膨大な書類作成と、罰金を払った「違反者」への謝罪に追われる羽目になった。

 友人の会社に届いた違反切符を眺めながら、実は「そんなにスピードが出ていたとは思えないのに」と思っていた。交通警察の謝罪連絡がわれわれの所にも来ないか-と期待した。しかし残念ながら、というか、やっぱり何の連絡もなかった。われわれは再び「へこんだ」。 (原誠司)