2012年05月17日
モスクワの大通りには、センターライン部分に一車線、緊急車両専用車線がある。日本では赤色灯だが、ロシアだと青色灯がついた内務省や警察など治安機関の車、救急車などがここを通る。
ところで、この専用車線で緊急車両同士が「お見合い」したら、どちらが譲るのだろう? 疑問に思っていた答えを先日、目の当たりにして、腹立たしく思った。
モスクワの目抜き通りでのこと。上下線とも渋滞で動かない中、治安機関の黒塗りセダンと救急車が、ともにサイレンを鳴らしながら専用車線で急接近。救急車がサイレンを鳴らすのは、急病人を乗せているからだ。譲るのは「黒塗り」と思っていた。ところが次の瞬間、黒塗りは車載スピーカーで「どけろ」と罵声。救急車は渋滞車列になんとか潜り込み、貴重な時間を無駄にすることになった。この光景には、周りの一般車から、怒りと抗議の警笛も鳴った。
青色バケツを車の屋根に載せ、青色灯車両の傍若無人な振る舞いへの抗議活動をモスクワでする男性に、見たことを伝えた。「ありそうなことだ」と言う彼は「奥方を乗せた黒塗りがサイレンを鳴らして買い物に行くのを一昨日見た」とも。
渋滞時に、専用車線を高速で走り抜ける治安機関の車を見ると、つい勘繰ってしまうこの頃だ。 (原誠司)