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北京 渋滞に八方ふさがり

2012年07月24日

 北京で車に乗っていると「堵死」という言葉を頻繁に聞くようになった。「堵」には「胸がふさがる」という意味があるが、窒息死という意味ではない。

 「堵車」だと車がふさがる、つまり渋滞のこと。「堵死」だと渋滞があまりにひどく、路上で車が全く動かなくなることを指す。

 かように道路事情はひどい。現在、北京だけで500万台以上の車がある。かつて街に自転車が大量に走っている映像や写真を見たことがあると思うが、その自転車が車にかわったと想像すれば今の様子を理解してもらえるだろうか。

 渋滞の原因は車の多さだけではない。駐車場整備が追いつかず、道路の両側に好き勝手に駐車。狭まった道に双方から来た車が譲り合わず突っ込む。交通事故の処理を道路の真ん中で行うなどマナーに起因する面も多い。

 都市計画にも問題がある。中心部の民家を壊し住民を郊外に強制移転し、次々とオフィスビルを建てた。日本の大都市のように近郊電車が走っていないので、平日のマイカー通勤者が増える。

 先日、日本から出張に来た友人が車で空港に向かう途中、交通事故渋滞に巻き込まれた。空港の手前6キロで「堵死」。離陸時間に間に合わず、その晩も北京に泊まる羽目に。もはや笑い事では済まない事態に陥っている。 (渡部圭)