2012年08月13日
これから秋口までは、野外コンサートの季節。サンフランシスコ北のワインカントリーで行われた無料の軽音楽会に行ってみた。
約100メートル四方の公園の一角に低いステージがあり、木立と芝生に囲まれている。グループで来る人が多く、敷物の上に椅子を車座に並べている。中心にはサンドイッチやサラダ。多くの座にはワインも。
目前の7人はワイン8本の栓を抜いた。後ろのグループは「慈善ワインオークションで30万ドル(約2400万円)も使ったワイナリーのオーナーがいた」と、ワインカントリーらしい会話を大声で交わしている。
開演時間になってバンドが登場したが、周りのガヤガヤは収まらない。椅子をステージに向けて置き直すのかと思っていたが、車座の人たちはステージに背を向けたまま。
「この人たちは真面目に音楽を聴くつもりがないのか」と、憤慨に近い思いで見渡していて気がついた。こちらの人たちにとって野外コンサートは、演目がクラシック音楽のようなものでなければ、日本の花見に相当する場合がある。
日本の花見も花を直視するわけではなく、食べたり飲んだり。この人たちも“花見気分”だと解釈したら、聞いてもらえないバンドを気の毒に思うこともなくなった。
(岡田幹夫)