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北京 コピー天国白紙遠く

2012年08月29日

 6月下旬に北京で開催された世界知的所有権機関(WIPO)の外交会議。中国で初めて開かれた知的財産権に関する国際会議とあって、中国側は「コピー天国」のイメージを払拭(ふっしょく)しようとアピールしたが、やや空回りに終わったようだ。

 その1つが知的財産権の保護や創出に取り組む国内企業や組織を顕彰する「版権金賞」。人民大会堂内に特設ステージを設置して各国代表らを招いた表彰式では、映画俳優のジャッキー・チェンさんはじめ中国内外の文化芸能人がゲスト出演、京劇や雑技など中国伝統芸能の催しもあり大いに盛り上がった。

 ただ、肝心の知的財産権への取り組みは映像を流しただけ。表彰式も伝統芸能やオペラなどの催しの合間にそそくさと行われ、受賞者とゲスト出演者のどちらが主役か分からないくらいだった。

 もう1つは海賊版DVDの取り締まり。会議期間中、近所のDVD店が突然「休業」した。この店は日本のテレビドラマを違法コピーした海賊版DVDを販売していたが、こうした店舗はすべて閉めさせられたという。

 閉幕翌日、中国紙はこぞって「北京は今後『版権の都』づくりに努めるだろう」と会議の成果を強調。しかし近所のDVD店は何事もなかったかのように営業を再開、海賊版DVDも並んでいた。 (新貝憲弘)