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台北 翻訳コンニャク不要

2012年08月24日

 第2外国語が日本語の大学生のアフレココンテストの審査員を頼まれた。会場は台北郊外の城市大学。台湾各地の大学から15チームが参加した。

 コンテストは最多6人のチームで「花田少年史」や「ドラえもん」など主宰者側があらかじめ選んだ日本のアニメやドラマの画面を見ながら、登場人物の声を吹き込む。登場人物が多いと1人で何役も。おまけにヤカンをたたいたり、ノートをバサバサ煽(あお)ったり、効果音まで。

 正面の大スクリーンに課題のフィルムが無声で上映される。スクリーン右手下に陣取った学生が画面を見ながら発声。

 「ドラえもん、早くしないと間に合わないぞ!」

 「待ってよ、のび太くん。そんなに走れないよぅ」(両手にもったスニーカーで机をバタバタたたく)…という具合で進行する。

 若者にはおなじみのフィルムばかりなのだろう。感情たっぷりのアフレコの声に観衆、いや聴衆も画面の中に入って一緒に笑い、拍手。熱演約3時間、見る方も疲れた。

 チーム賞と個人賞を選び、筆者は個人賞を授与した。優勝の女子学生に賞状を渡すと、「アリガト」と涙。話し掛けると、言葉が続かない。アフレコはあんなに流ちょうだったのに、会話はたどたどしく、まだ難しいようだ。 (迫田勝敏)