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北京 人任せ大けがのもと

2012年11月03日

 2日からウラジオストクで始まったアジア太平洋経済協力会議(APEC)の取材ビザを取得しようと、北京のロシア大使館に問い合わせの電話を何度しても誰も出ない。しかたなく直接出向くと、入り口には30人近くが並んでいた。

 すると1人の中国人が「代理申請しますよ」と声をかけてきた。聞くとロシア旅行専門の業者で、「大使館は1日10人足らずしか申請を受け付けない。自分を通せばすぐビザが下りますよ」と言葉巧みに売り込んできた。半信半疑だったが、同業他社の記者仲間たちに尋ねると、同様に代理申請をしたり何日も大使館に通って順番待ちをしたという。

 このためこの業者に代理申請を頼もうとしたが、APECの取材ビザは無料で取得できるはずなのに「代理申請手続き以外にビザ取得費用も必要」と説明。ビザの期間も「1週間分しか出ない」などと、どうも怪しい。

 そこで今度は支局の中国人スタッフを伴い大使館の入り口で交渉すると、その場であっさり申請窓口に通され、翌日には有効期間1カ月のビザが発行された。手続き費用も当然不要だった。

 詐欺まがいの業者に引っかからずにほっとする一方、人任せだった自分の姿勢にも反省。ただ、電話問い合わせに出なかった大使館の対応にも疑問は残った。(新貝憲弘)