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ソウル 子らの笑顔守る責任

2012年10月28日

 日中韓3カ国の子どもたちが力を合わせた。日本の国立青少年教育振興機構などが2002年に立ち上げた子ども童話交流事業。昨年は中国で、今年は8月17日から7日間、韓国・慶州やソウルに小学生100人が集まり、10班に分かれて光をテーマに絵本を作った。

 暗い世界を何とかしたいと思った虹は、太陽から赤色を、雨からオレンジ色を受け取る。やがて7色の光をそろえた虹は、世の中を明るく照らす-。

 この話を作った班の韓国の小学生女児(12)は「友達たちといろいろ話をした。好きな本のこととか」と思い出を一気に語る。彼女が「一番の仲良し」という日本人の少女(11)は「みんなでちょうちんを作ったのが楽しかった」と笑顔で振り返った。

 ちょうちんは絵本発表会場に飾られていた。中国語で、3カ国の友情が長く続くようにと書き込まれたちょうちんも。

 舞台で班ごとに自作絵本を朗読する子らはみな緊張し、でも誇らしげだった。声が出にくい子を別の子が助けた。朗読後の満足げな笑顔がまぶしい。

 最近の外交を「子どもじみている」というがとんでもない。子どもは立派にやっている。この笑顔が曇らないようにするのは、私たち大人の責任だとあらためて思う。来年の交流事業は東京や愛知県で開かれる。(篠ケ瀬祐司)