2012年11月09日
カイロで、知り合いの若者(24)の婚約式に招かれた。相手の女性(19)は、いとこ。親類同士の結婚は珍しくない。
イスラム教のもとでは、婚約前の男女はデートも許されない。婚約して初めて、お互いの家を訪れたり、晴れて2人で、外出したりできるようになる。
婚約式が開かれたのは、女性の自宅。親類や友人ら30人ほどが出席した。盛装の2人をワイワイと囲み、まず記念撮影をした。
その後の展開は、予想外だった。にぎやかな音楽が流れ、ダンスパーティーに変化。主役の2人はもちろん、老いも若きも「待ってました」とばかりに思い思いに踊り始めた。
手や腰の動きが優美な伝統のベリーダンスから、今風の即興ダンスまで競い合い、見ているだけで楽しい。来賓や主役のあいさつもないまま、4時間余。途中の食事は休憩時間と言った方がいい。
最近は政情が不安定で景気は低迷。婚約後も経済的な事情で、結婚まで長期間、かかることがあるという。男性が女性に貴金属を贈る習慣があるが、「チャイナ・ゴールド」という模造品で代用する例が増えたらしい。
結婚までの道のりも長く険しい。乗り越えることで一段と絆を深めるのだろう。人生の大きな一歩を踏み出した、2人の幸せを願わずにいられない。(今村実)