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ソウル トップ選び彼我の差

2012年11月11日

 そろいのTシャツを着て、ダンスしながら応援ソングを合唱する。着ぐるみが練り歩き、飲食店の屋台やコーヒースタンドが並ぶ。にぎやかな様子に気分が高揚してくる。

 運動会や秋祭りのイベントではない。十二月の大統領選に向けた各党の公認候補を選ぶ、演説会場前の光景だ。

 会場内もイベント色が濃い。ステージはコンサート会場のよう。開会前から大音響の音楽が鳴り響く。

 演説前には各陣営のPR映像が流れる。与党セヌリ党の演説会場では、タクシー運転免許を持つ候補が、実際に運転する様子を披露。苦戦中の候補は「知名度ゼロの○○○(候補名)」との捨て身の映像で笑いを誘った。

 最大野党の民主統合党(民主党)は演説後に現場で党員投票。携帯電話などでの投票分と合算して直ちに結果発表され、毎回開票の緊張感が味わえた。

 時にトラブルも起きた。民主党では、投票の仕組みなどをめぐって執行部批判が噴出。党代表のあいさつ中に聴衆からやじが続き、ペットボトルや生卵が投げつけられた。許されない行為だが、執行部は党員の不満を肌で感じただろう。

 日本では与野党のダブル代表選の最中。盛り上がりぶりや、各候補と党員・有権者との距離感はどうなのだろうかと、ふと思った。 (篠ケ瀬祐司)