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ニューヨーク キャラ弁作りに食指

2012年11月21日

 「あの芸術的なランチボックスは、あなたが作っているの?」

 米ニューヨーク郊外にある3歳の息子が通う保育園で、担任の先生が、興味津々で問い掛けてきた。

 夏の間は、保育園の給食が休みだったため、息子には日本の弁当箱に入れておにぎりなど和食の弁当をもたせていた。

 移り気な3歳児の気をひくため、「キャラ弁」の要素を入れたのがポイント。手先の器用な夫を動員し、のりから恐竜を切り出して、ご飯の上にぺたっと載せたこともある。

 それ以外は至って普通。卵焼きやハンバーグなどの定番に、ブロッコリーやパプリカなど野菜のあえ物を彩りに添えた日本人なら誰もが作れる弁当だ。

 「色彩や、おかずの種類など本当に素晴らしいわ」。先生は息子が食べる前に写真まで撮っていた。先生の興奮が伝わるのか、息子もいつも完食してくれた。

 先生によると、地元の子らの多くは「ジャムやハムなどのサンドイッチ」のみを持参すると言い、それに比べれば、和風弁当を絶賛する気持ちも分かる。

 さて、9月から息子は新しい保育園に通い始めた。給食か弁当か選べるが、新しい先生を驚かしたいという気持ちがむくむく。苦痛になりがちな弁当づくりに前向きな動機を与えてもらった。

(長田弘己)