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ウラジオストク 熱烈歓迎しちゃいな

2012年11月28日

 ロシア極東ウラジオストクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談を数週間後に控えた週末。取材を終えてホテルに帰ろうとしていた時、現地の案内役兼運転手の男性が「おいしい牛肉でバーベキューしませんか」と誘ってきた。

 場所はウラジオストクの北隣アルチョム市。北朝鮮からの出稼ぎ労働者の多くが畜産業に従事し「安くてうまい」とウラジオ市民に、いま評判という。

 現地で男性の知人の北朝鮮人から牛肉を買ったら、野菜もほしくなった。「それならロシア人の農場で買うより少々値は張るが、中国人が作る物がいいですよ」と男性。同じ野菜でも、大きくて形がいいからだそうだ。

 極東連邦管区には620万人のロシア人が住む。これに対し、国境を接する中国東北部などには、1億を超える中国人が控える。商業だけでなく、最近は農業分野でも中国の進出が目立ち、ロシア政府には、この地方が中国にのみ込まれるのではとの警戒感も強いと聞いていた。しかし男性は「それはモスクワが考えること。地元の生活者としては、中国人は、警戒ではなく歓迎の対象」と話したのが印象的だった。

 買ってきた食材をアルチョムのレストランに持ち込んで味わった。その横では、商売繁盛を祝う中国人たちが、大宴会で盛り上がっていた。(原誠司)