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ワシントン どの候補のめますか

2012年12月04日

 ビールと米大統領選には意外にも深い関係がある。古くから米国民は投票を決める際に大統領候補と「一緒にビールを飲みたいかどうか」を判断基準の一つにするといわれる。親しみやすい人物こそが大統領にふさわしいということだ。

 オバマ大統領はビール好きで知られ、ホワイトハウスに家庭用ビール醸造機を導入したほどだ。ホワイトハウスの敷地内で酒類が造られるのは初めてのことだという。自家製ビールのレシピはホワイトハウスのウェブサイトで公開されている。

 昨年秋には名誉勲章を授与された元海兵隊員の要望に応え、ホワイトハウスのテラスで自家製ビールを一緒に飲んだ。今年8月の中西部アイオワ州遊説では、祭りの参加者にビールを振る舞った。

 こうしたかいがあってか、各種世論調査でオバマ氏に親近感を覚えるという回答は共和党のロムニー候補をはるかに上回る。ロムニー氏も劣勢の挽回に懸命だが、意図的に人間味を訴えること自体に少々無理がある。

 ただ、ビールを親近感の尺度にするのは今回に限り不公平な気もする。ロムニー氏は末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の信者で、飲酒を禁じられている。どちらの候補者とビールを飲みたいかという問い掛けが成り立たない。口角泡を飛ばす話でもないが・・・。(竹内洋一)